パソコンの寿命


パソコンのトラブル解決なら岡山で1番の会社を経営していたIT経営コンサルタントの川上です。

今日はよく聞かれる「パソコンの寿命」についてお話ししたいと思います。

仕事柄、お客様はもちろん、セミナーや交流会でお会いした人によく聞かれる質問が『パソコンの寿命ってどのぐらいなの?』です。
昔に比べて安くなったとはいえ、やはり出来るだけ長く使いたいと思う気持ちはわかります。特に自営業の方や経営者の方からすれば経費は掛けないに越したことはありません。私も経営者なので気持ちは痛いほど良く判ります。
が、残念ながらパソコンの寿命はあまり長くありません。

5dfaac857ad5a721fca12190db079845パソコンの寿命、私はいつも『3年~5年をひとつの目安にしてください。』とお答えしています。
もちろん、パソコンを売りたくて3年から5年と言っているわけではありません。そもそも弊社はコンサル(サポート)が主でパソコン販売には力を入れていませんし。

では、なぜ3年から5年とお答えしているのか、もちろん理由があります。

まず、正確な統計を取ったわけではありませんが、経験上3年~5年を過ぎると徐々に故障率が高くなります。
特に多いのはHDD(ハードディスクドライブ)の故障です。HDDは機械的に稼働している部品なので運が悪いと3年未満でも壊れます。パソコンの扱いが雑だったり(ノートパソコンなどは特に)、常時負荷の重い処理をさせたりしていると当然故障率は高くなります。
もちろん、故障した部品(この場合HDD)を交換することで修理は可能なのですが、5年を過ぎると、今度はHDD以外の部品もあちこち故障しだします。多いのはメモリやM/B(マザーボード:部品を載せるベース基盤のこと)、光学ドライブ(DVDやブルーレイのドライブ)などです。

製品の故障率を、時間経過と故障頻度の関係をグラフで表した「バスタブ曲線」と呼ばれる図があるのですが、当然、パソコンの場合も故障率は同じような曲線を描きます。
この図によると、ある程度の期間を過ぎると故障率が高くなります。その目安がパソコンでは大体5年と言うことです。

バスタブ曲線
パソコンの故障率曲線(バスタブ曲線)

2つ目の理由は、ほとんどの家電量販店さんの延長保証が5年ということです。
大手の家電量販店さんでは、どこでも延長保証と言うメーカー保証(通常1年)を延長するお店独自の保証サービスを提供しています。
冷蔵庫などいわゆる白物家電では7年とか10年とかの長期の保証をしていることもありますが、パソコンに関してはどの家電量販店さんでも5年です。(大昔には7年とかもありましたが)
これは、パソコンは5年を過ぎると故障率が増えて大変だから、と見るのが適当です。

家電量販店さんの延長保証の制度は、昔の様な自前で修理費を負担する制度ではなく保険を使って行っています。
つまり、保険会社さんが持ってるデータで、5年以上は故障率が上がって商売にならないと判断しているんじゃないかと推測することができます。
これは、5年過ぎると故障が増えることの傍証と見ることができます。

3つ目の理由は、ソフトの対応や性能の不足です。
パソコンを5年も使っていると、新しいOSが発売されたり、使っているソフトもバージョンアップしたりと、ソフトウェアも進化していきます。
最近のWindowsはWindowsUpdateやMicrosoftUpdate等のアップデート機能によって、インターネットに接続されていれば自動でOSやインストールされているMicrosft Office等を最新の状態に更新してくれる機能が付いています。
しかし、パソコンの中身(ソフトウェア)が最新の状態になっても、パソコンの性能(ハードウェア)はそのままです。

そのため、最新のソフトウェアを動かすには徐々に力不足になり、パソコンの動作が遅くなり、壊れているわけじゃないけど遅くて使い難い、と言う状態になることも少なくありません。
また、OS自体が極端に古いパソコン(Windows MeやWindows 2000)だと、パソコンメーカーはもちろん、OSのメーカーであるマイクロソフト、そのパソコン上で使っているソフトウェアのメーカー等もサポートを終了していることがほとんどのため、セキュリティ(ウイルス対策)的にも大きなリスクを抱えることになります。
余談ですが、最近のウイルスは昔のような愉快犯と違って犯罪目的のモノが増えており、感染すると経済的な被害など、実生活に影響を受けるリスクが高まっています。

4つ目はメーカーの修理対応期間です。
パソコンが故障した場合、通常はメーカーで修理を行います。
パソコンの修理代は購入時の金額に比べてかなり割高なので、メーカー保証期間内であるとか、購入店での延長保証がある場合は基本、メーカー修理となります。
故障個所によっては汎用部品で自分で修理したり、町のパソコン修理屋さんで修理することも可能ですが、保証は使えませんので部品代や作業代は当然実費となります。
なので、保証が利用できる場合はほとんどの方がメーカーで修理をすることになります。

ところが、メーカーが修理用の部品(補修用性能部品といいます)を保存している期間は当該機種の『製造終了から5年』と言うのが一般的です。
つまり、『パソコンを売ってから5年間は修理用部品を用意してるけど、5年を過ぎたらその部品は在庫限りですよ』と言うことです。
実際、ちょっと型の古いパソコンだと、修理しようにもメーカーにも部品がなくて修理できないと言うことはよくあります。(部品なしで修理不能と言われてしまいます)

5つ目の理由はリース期間。
個人の方にはあまり関係ないかもしれませんが、会社なんかだとリースで購入する場合も多いかと思います。(個人的にはリースでの購入はお勧めしてませんが、この話はまた別の機会に)
一般的にリースの場合3年・5年・7年が多いと思います。
4つ目までの理由で、7年だとリース期間中にかなり高い確率で1回は故障します。5年なら運次第、3年ならまず大丈夫と言う感じです。
もちろん、性能的に使い物になるかどうかと言う意味では、高性能な最上位モデルのパソコンであれば7年後もそれなりに使えるかもしれませんが、性能的には7年後の最安値パソコンと同等程度か、それ以下でしょう。
今現在でそこそこの性能のパソコンでは7年後には・・・。

上記のような理由から、私は『パソコンの寿命は3年~5年が目安』とお答えしています。
ちなみに今更ですが、パソコンの寿命には故障して動かなくなるまでの機械的な寿命、性能などに不満が出てきて使用にストレスが溜まりだす利用上の寿命、新しいソフトウェアや周辺機器に対応できなくなる製品的な寿命などがありますが、ここではそれらをふまえた『買い換えを検討する時期』と言う意味で使っています。
その意味で、5年過ぎたらすぐに壊れるというわけではありませんが、いつ壊れてもおかしくない時期に入ったと思って、早いうちに買い換えを検討してください。

実際、お仕事でお伺いする中には7年とか10年、故障なしで動いているパソコンと言うのに出会うこともありますが、全体から見れば当然少数派です。いわゆる「運が良い」方ですね。
もちろん、個人なら運任せで少しでも長くと考えて使っていても問題はないのですが、少なくともお仕事、ビジネスでパソコンを利用するのであれば、リスク管理と言う意味からも5年を過ぎたら壊れる前に買い換えをお勧めします。

経験したことがある方は判るかと思いますが、壊れて調子悪くなったり起動しなくなってからではパソコンの入れ替えの手間が天と地ほども違います。
正常に動いているパソコンからでも、新しいパソコンにデータや環境(設定)を移すのにかなり手間が掛り面倒ですが、故障してしまってからではその手間がもっと面倒なことになるワケです。
また、壊れたHDDからデータを取り出すとなると故障度合いやデータ量にもよりますが数万円~数十万円、パソコン買い換えでは済まない費用が掛かることになります。
つまり、リスク管理とIT投資は計画的に行うことが大切と言うことです。

と言うことで最後にもう一度
『パソコンの寿命(買い替えサイクル)は3年~5年を目安にしてください。』